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るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚- 追憶編 京都

「るろうに剣心」もうひとつの物語『追億編』

ブルネイ

90年代を代表する少年漫画のひとつ「るろうに剣心」。累計発行部数5,000万部を突破し、2012年には実写化された本作は、幕末に“人斬り抜刀斎”名を馳せた主人公・緋村剣心が明治の平和を守り、活躍するストーリーです。この抜刀斎時代の剣心を描いたOVA(※)「るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚- 追憶編」をご紹介します。

※OVA…オリジナルビデオアニメの略。テレビや劇場上映などをせずに、記録媒体やレンタルを主な販路として製作されるアニメーション作品。

「追憶編」とは何か


1996年にテレビアニメの放送が始まり、98年に終了を迎えた後に、99年にOVAとして発売されたのが「追憶編」です。

原作の最終章となる“人誅編”を元に作られ、剣心の妻であった雪代巴との“出会い”と“別れ”が描かれています。剣心の特徴である左頬の十字傷の謎も、本作で明かされます。


時代は動乱の幕末


るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚- 追憶編 京都

人々が平和に暮らせるよう、新時代を切り開こうとする緋村抜刀斎(剣心)。彼は、長州派維新志士の筆頭・桂小五郎のもとに身を置き、敵対する佐幕派の人間を暗殺してきました。ある晩、ターゲットとなった要人を暗殺しますが、従者の清里明良との相打ちにより、清里自身は死亡するも、抜刀斎は清里から左頬に一文字を刻まれます。

未来の平和にために人を斬り続けるも、元来抜刀斎は心優しく、そしてまだ15歳の幼い少年でした。人を殺していく中で心は荒んでいき、酒を飲んでも口の中には血の味が広がるばかり。そんな日々の中、幕府が仕向けた暗殺者を返り討ちにした抜刀斎の前に、ひとりの女が現れます。彼女は死体が転がり、大量の血が飛び散る現場を目の当たりにするも、顔色一つ変えずに静かにこう漏らします。

「よく惨劇の場を“血の雨が降る”と表しますけど……あなたは本当に 血の雨を降らすのですね…」

(第一幕「斬る男」より)

女の名は雪代巴。のちの抜刀斎の妻になる人物であり、かつて殺した清里明良の婚約者でした。

好きになってはいけなかった相手を好きになった抜刀斎と巴


るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚- 追憶編 白梅
愛した人が復讐者であった抜刀斎。復讐相手なのに惹かれてしまった巴。両者の関係はあまりにも残酷で、そこがまた作品の魅力に繋がっています。特に板挟み状態の巴の立場は、観るものを苦しい気持ちにさせます。

婚約者を殺したのは、巷で噂となっている人斬り抜刀斎。けれども、いざ会ってみると抜刀斎が元服前の少年。それは巴にとって誤算だったのかもしれません。婚約者であった清里を愛していたからこそ復讐に走る気持ちと、抜刀斎が刀を振る理由を知って決心が鈍ってしまう葛藤部分が、悲恋となってストーリーを盛り上げます。

明治では人助けに奔走する剣心ですが、それは抜刀斎時代に多くの人を殺してきた罪を償うためであり、幸せを奪われた巴は剣心の“罪の象徴”です。加害者と被害者という関係で恋に落ちてしまった2人の関係は悲劇ではありますが、夫婦となって全てを告白した先にあるのは本物の幸せでした。


OVAでしか味わえない映像美

原作が少年誌であるのに対し、抜刀斎時代の話は暗くて陰鬱さがあります。OVAではテレビアニメのデザインから一新して、キャラクターをリアルに近づけた絵となっています。テレビでは放映が難しい残虐なシーンもOVAでは余すことなく描かれ、戦いのシーンも殺人であることが実感できるほどむごいものとなっています。それらから、追億編はアニメとは思えないほどリアルな時代劇となっています。

背景もクオリティが高く、四季折々の自然が美しく描かれており、それがまたキャラクターたちを、生身の人間のように映し出します。

るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚- 追憶編  抜刀斎と巴

「るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚- 追憶編」

(文・ブルネイ)

ライタープロフィール

AFTR5編集部
女の子座りができないブルネイです。
地べたに座るのが苦手、掘りごたつ派。