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非処女と童貞。カーストに左右される男女を描く「モンクロチョウ」

ブルネイ

アフターファイブに読んで欲しい漫画たち。今回紹介するのは、自分に自信のない主人公を見下すヒロインが特徴的な「モンクロチョウ」です。
周りを気にしがちな10代の暴走を全3巻に渡って描きます。

劣等感の塊の主人公

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主人公・岡部正也は、小学生の時に、幼なじみの白石桃子の下着から覗くナプキンの羽を見て、一足先に大人への階段を昇っている彼女に劣等感を抱きます。それをきっかけに、女が苦手となり男子校に入学しますが、連れていかれた合コンでの会話で、童貞であることがコンプレックスだと感じるようになるのです。そのため彼は、合コンで出会った女性と、童貞を卒業することを目論みます。

一方で、小さい頃から一緒の桃子と、性別関係なく接することができることにも安心していました。桃子は色気より食い気なタイプの女性であったため、正也も昔と変わらないと思うことができました。

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しかし実際には、桃子は正也のクラスメイトと付き合い、しかもナマでセックスをしていました。彼女は、正也よりも随分と先に大人になっていたのです。

桃子の性生活を知り、自暴自棄になった正也は、そのままはずみで桃子とセックスして童貞を卒業します。さらに、合コンで知り合った高田リサをセックスフレンドにしてしまうのです。セックスを覚えたことで正也は、自分が他の人間よりも、優位に立ったと思い込む人生が始まります。

カーストの下位にいるヒロインと主人公

本作には身分差を意味する「カースト」を、強く意識する正也のコンプレックスがふんだんに描かれています。

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カーストのてっぺんは女に不自由せず、周囲から羨望の眼差しを注がれながら下の人間を見下せる存在。作中では正也は容姿が良いとされ、トラウマさえなければカーストの上位者となれたと、彼自身が思い続けています。

そんな正也を冷静に見つめ、見下す桃子はヒロインとしては一風変わっているかもしれません。

登場時の桃子はぽっちゃり体型で、鈍くさいものの、優しさあふれる癒し系女子という存在でした。だからこそ正也も昔と変わらない幼なじみとして見ることができたのですが、全く成長しない正也とは対照的に、桃子は心も体も大人に近づいていきます。

桃子を処女だと信じて疑わなかった正也の考えも、桃子を密かに見下していたことにも、桃子は気づいており、桃子も正也のことを見下していました。

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彼氏に振られたことをきっかけに、過酷なダイエットをしてスリム体型の美女に様変わりした桃子。彼女を見る周囲の目は180度変わります。ぽっちゃり体型の頃は化粧っ気がなく、巨乳で色気がありつつも、本人は食べ物一筋。カーストでは最下位の少女でした。だからこそ正也は見下しつつも、自分と同じで性行為がないピュアな存在として神聖視していたのです。

桃子が変わることを決意した先に待っていたのは、正也が欲しがったカーストの上位という立場です。見下されていたはずの桃子は後にモデルとなり、異性からモテて、同性の中でも勝ち組に入り込むほどまでに成長します。

桃子と正也は同じカーストの下位者であったものの、勝ち組となったのは桃子のほうでした。他人を格下に見て優越感に浸る正也とは対照的に、桃子は他者に気に入れられるように自分を上手く見せ、カーストの階段を上っていきます。

「ヒロインは主人公に愛されるもの」という漫画のセオリーを壊す、桃子と正也の関係は、単なる男女の関係に収まりません。見下し、見下され、お互い大切な存在であったはずなのに傷つけ合います。周囲の人間も巻き込んでボロボロになっていく姿は、青春と呼ぶにはあまりにも痛々しい。

未完成な子供

まだ成長段階である子供だからこそ、自分の努力次第でいくらでも変わることはできます。桃子は自分の体型を変え、正也も女コンプレックスから脱却しようとスクールカーストの上位を狙います。

正也のコンプレックスの根底にあるのは、置いていかれることへの焦りです。周囲の人間がひたすら気になり、自分の足並みが遅いことにコンプレックスを抱き、その心を埋めるために自分よりも成長が遅い相手を下に見る。傍から見てひどく弱々しい正也ですが、人の目が気になるのは10代という時期は特別珍しいことではありません。カーストでの勝ち負けの優劣を意識し、抜け出せなくなった正也はまだ未熟といえます。

未熟な子供の学生時代は全てが不完全です。その脆さを描く「モンクロチョウ」は、自分に心当たりがあってもなくても、心がえぐられる気持ちになります。

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「モンクロチョウ」

(文・ブルネイ)

ライタープロフィール

AFTR5編集部
女の子座りができないブルネイです。
地べたに座るのが苦手、掘りごたつ派。