お金以外のメリット、アルバイトをして良かったこと|徒然花
コラム・徒然花、今回のテーマは「アルバイト」です。アルバイトをして生まれて初めて味わった“苦労”と“経験”。この2つは私にとって貴重な体験となりました。
生まれて初めてのアルバイト
私がアルバイトを始めたのは高校生となる4月1日から。幸いにもアルバイトOKな学校だったため早くから社会経験ができました。
アルバイト先は自宅の近所にあるコンビニで、時給800円と決して高くはないお給料でしたが、通勤が楽という理由だけで働くことを決めた私。人生初の職場は、夫婦経営なのもあり、初日から和やかな雰囲気が漂っていました。
それまでお客さんとして見ていた感覚では、コンビニはレジ作業が主な仕事だと思っていたのもあり、そこまで大変だとは思っていませんでした。ところが、私の想像以上に“働く”ことは大変だったのです。
食品、特に冷凍食品の補充はスピード勝負ですし、金銭を取り扱うレジは毎日が緊張の嵐です。1円でも誤差があればレジ点検はやり直し。私の想像は簡単に崩れ落ち、出勤の度に失敗しては、焦りとプレッシャーからどんどんミスが増えていくのです。
そして、働き始めて約3カ月後。
私は、仕事に対する辛さが日を追うごとに大きくなり、コンビニのバイトを辞める決意をします。私のミスが多かったことは、店長もよく知っていたため、私を引き留めることはありませんでした。しかし、そこでひとつの提案をもらうのです。
いつの間にか超えられていたハードル
店長の奥さんは、弁当屋さんでパート勤めもしていました。そして、コンビニを去る決意をした私に「弁当屋で頑張ってみないか?」と言うのです。アルバイトに対する不安感が出来てしまっていたため、最初は断ろうと思っていたのですが、収入が0になってしまうという事実を直視し、物は試しだと、弁当屋の仕事を紹介してもらったのです。
しかし、やはりというか、人はそう簡単に変われるものではありません。弁当屋で働き始めた私は、コンビニと同様にミスを連発。自分でも嫌になるくらい何回もミスするため再び辞めたいという気持ちに……。
しかし、結果として弁当屋は辞めずに続けることになったのです。
その理由が、弁当屋の店長・カワシマさんの存在です。
仕事に入る度にミスをする私でしたが、注意はするけれど優しい態度を崩さないカワシマさん。いつも「辞めたい、辞めたい……」と思っていた私でしたが、気づけば1年がすぎ、相変わらずミスはするものの、出来ることが着実に増えていったのです。
出来ることが増えていった私は、徐々に自信を持つことができ、自分でも思うほど上手く仕事を回せるレベルにまで成長。「辞めたい」という言葉は、どこかに置き忘れ、弁当屋のアルバイトは大学を卒業するまでの7年間勤め上げることになりました。
挫折や苦労は本当に心が痛くなるような経験です。今も、働き始めた当時の思い出は夢に見るほどの悪夢です。しかし、この経験が全てマイナスなイメージなのかといえばそうではありません。
「辛かったアルバイトが頑張れたのだから、会社も頑張れる」
アルバイトをしていたことで、早いうちからハードルを次々と超えていたことが私のメンタルを鍛え、苦労した分の経験が、その後の社会人となった私の礎となっています。アルバイトは社会体験ができ、なおかつ学校では学べない“苦労”が体験できます。準備運動をして少しずつ社会を知ることで、いざ社会人となった時にすぐにへこたれない精神を培うことができたと思います。
「若い時の苦労は買ってでもせよ」という言葉があるように、若いうちの経験は大人になった時に役立つ日がくるもののです。
(文・駿河慧)